試験では10問しかない上に、難しく言い回しの似た用語の並ぶ「社会的養護」は、苦手意識のある方も多いのではないでしょうか。
私も最後まで試験対策が適切かモヤモヤしていました。
カテゴリに分けて内容を整理しながら進めていきます。
この記事では保育士試験科目「社会的養護」の勉強法についてトピック毎に解説します。
この科目を構成する3本柱は社会的養護の「歴史」「現在の体系理解」「統計データの把握」
社会的養護は保育原理、教育原理や子ども家庭福祉とも出題内容が重複しているせいか
論点がぼやけがちでカテゴリーに分けて勉強するのが難しいように感じました。
ここでは3つの論点に分けて社会的養護の全体像把握からはじめます。
この科目の全体像を眺めると、大まかに3つの論点で構成されています。
【3つの論点】 1.社会的養護の歴史 2.社会的養護の現在の体系理解 3.「社会的養護の現状について」等の統計データの傾向把握
「歴史」については「理解」というより事実を「覚える」内容ですので、早期の着手をおすすめします。
おそらく勉強の進め方がモヤモヤしがちな論点2.3ついては、内容理解に努めたトピックや使用する統計データについて紹介します。
論点1 社会的養護の歴史と人物・教科書に掲載の法律・条約は早期暗記対策がマスト!
私の攻略法としておススメしているのが「歴史や歴史上の人物」の早期暗記対策
です。
法律や統計値等は受験年度によって更新や改正により確認すべき内容が変わる反面、過去に起きた歴史の出来事や人物は受験年度にかかわらず内容が変わりません。
歴史関係の内容は、全科目に共通して早期に暗記対策を繰り返すことで得点源にすることもかないます。
子ども家庭福祉・社会福祉と共通する歴史年表を書き出してみよう
社会的養護の歴史を整理する前に、「子ども家庭福祉」「社会福祉」でも似たような歴史年表が掲載されてないでしょうか。
似たような内容がテキスト上下巻にまたがって散らばっていると、復習する時迷子になるし、知識もつながりずらいのかなと感じました。
特に歴史では、この出来事が起きたからこの法律・憲章が施行された、という因果関係と時間軸の流れも理解する上で大切です◎
とにかく自分で理解しやすいように整理したいタイプなので、オリジナル歴史年表を作りました。
【オリジナル歴史年表】
左側は「子ども家庭福祉・社会的養護の歴史」
右側は「教育の歴史」
※特に戦後から現在にかけては、少子化や子育て関連の法律の施行順序を時系列に把握するのにも役立ちます。
テキストや問題集の巻末にも年表は掲載されているので、そちらを書き込んで活用するのもOK!
ただ読み込むだけより書き出すことで、時間軸の流れを整理し把握できたことは大きかったですね。
テキストに載る法律条約は「よく出題される条文」も調べよう
教科書に掲載される条文は極めて重要な内容なので暗記対策するとして、加えて過去よく出題された条文を追加で調べてみましょう。
参考リンクは「児童の権利に関する条約」に限っていますが、ほか教育基本法・日本国憲法など別科目でチェックすべき法律も「過去によく出題されている条文」を追加で調べ暗記対策に加えましょう!
子どもの権利擁護に関する法律・条約について、理解もしながら覚えるのにこちらの記事を何度も読みました。とても参考になりますので是非。
おまけ:時々出る法律は第1-3条を確認する習慣を!
問題演習を進める中で、児童福祉法や子どもの権利条約といった頻出の法律ではないけど、2.3度問題で出てきた法律や条約ってありませんか?
例えば…子ども若者育成支援推進法や子どもの貧困対策の推進に関する法律などなど。
是非インターネットでその法律の第1条~3条までを検索することをおススメします!
第1条では概ね、その法律の「目的」が示されています。
『どのような経緯から、この法律が必要とされ、どのような目的・社会を目指しているのか』
時々出題される以上、その法律の「核」となる第1条を、余裕があれば2.3条辺りまで法律の大切な部分が記載されているので目を通しておくと学びが深まると思います。
論点2 現在の社会的養護の体系を理解◎紛らわしい名称・用語を混同しないで整理することが大切☆
続いて「現在」の社会的養護についての論点です。
社会的養護には大きく「施設養護+家庭的養護」と「家庭養護」に二分されますよね。
ってこの時点で似たような言い回しで「?」になりませんか?
こうしたテキストではさらりと記載されている紛らわしい名称・用語に慣れ、内容を混同しないで理解することを目指します。
基本だけど大事◎別称ではなく正式名称で理解すると誤答が減る!
「グループホーム」は分かるけど「地域小規模児童養護施設」と表記されると「?」となる。
「ファミリーホーム」は分かるけど「小規模住居型児童養育事業」と表記されると「?」となる。
別称では理解できるけど正式名称だとごっちゃになり、誤答を繰り返していました。
試験問題でも似たような名称同士でひっかけ問題になる可能性があるため、別称と正式名称どちらで出題されても正しく読み取れる理解が必要です◎
テキストの内容だけでは各施設のイメージが出来ず理解が深まらなかったため、別で整理するためのレジュメを作りました。
「整理する観点」を参考に、ご自身での整理・理解を進めてみましょう!
問題やテキストが読みやすくなりますよ★
【整理する観点】
・施設の目的・内容を自分の言葉で
・定員、場所(施設?住宅?)
・家庭養護OR家庭的養護?の分類
・社会福祉事業の「第1種」「第2種」の分類
施設の社会的責任〔苦情解決・情報提供・第三者評価〕の義務OR努力義務と根拠法を整理しよう!
社会的養護で苦戦したのが社会的責任の3つの内容を整理することでした。
苦情解決・情報提供・第三者評価と自己評価、勉強を進めるにつれ混同しやすい内容なので1つずつ切り分けて把握を進めましょう!
まずはこちらの記事の熟読を強くお勧めします!
私もこの記事とテキスト・問題集を行き来しながら少しずつ理解を進めました。
おまけ:表にまとめて運営主体ごとに社会的責任を整理しよう
それでも理解が進まず、自分で下記の表を作って埋めていく作業をしました。
正直なところ、勉強を進める中で全てきれいに埋めることができず、この表も未完成の状態です。
テキストの文章だけではぼやけがちなことが、表にすることで何が不明なのかが明らかになるので一度整理してみてはいかがでしょうか。
【整理する観点】
・義務OR努力義務を明らかにする
(書面交付・公表・市町村の場合等より詳細な観点で「義務OR努力義務」が決められており適宜追記する)
・根拠法を明らかにする
★注意★根拠法によって義務OR努力義務が異なる場合あり!(例:保育所の自己評価)
論点3:よくでる厄介者!「統計データの把握」は過去と最新版とを比較しよう!
おそらく社会的養護で一番苦手な理由がこの「統計データの把握」なのではないでしょうか。
数字に弱い私は「社会的養護の現状について」の表を見て、直前にまたやろう!と閉じたのを覚えています。
もう1つ頻出の統計データが「児童養護施設入所児童等調査」ですね。
こちらも厚生労働省のPDFを見て、量の膨大さに×をすぐ押した記憶が。。。
大切なのは「数字の規模感を把握」と「過去との比較による傾向把握」の2点です★
「社会的養護の現状について」は毎年同じフォーマット!ガンガン比較と傾向把握を進めよう!
「社会的養護の現状について」は毎年更新されており、受験年度での最新版がどの年度のデータになるのかをまず確認が必要です。
その上で、1つ前の年度を過去データとしてインターネット検索し取得しましょう。
参考までに下記リンクが「社会的養護の現状について平成28年度版」です。
「社会的養護の現状について」の分析観点と着眼点
年度にかかわらずほぼ同じフォーマットの統計データですので、下記【着目点・分析観点】を参考に過去と最新版とを見比べ傾向を把握しましょう。
【着目点・分析観点】 ・冒頭の対象児童数と共に各児童数・各施設数の増減に注目 →急激に増減?緩やかに増減?の把握 ・施設数の増減では「家庭養護」「施設養護」の視点で見てみよう →おそらく施設の小規模化が進んでいるため、施設数にも表れているはず ・各施設の現員数を少ない順(又は多い順)に並べてみよう ・里親も区分ごとに少ない順(又は多い順)に並べてみよう ※現員数と定員数の差も着眼点になります、満員に近いのか空きがあるのかを把握 ・児童数・施設数の数の規模感だけは(2桁?3桁?4桁?)なるべく覚えましょう
ご自身での分析を終え問題演習を行う中で、出題箇所を実際のデータで調べて見返す。
その繰り返しで苦手意識は徐々に薄らぎ能動的に取り組めるようになるはずです!
おまけ:「社会的養育の推進に向けて」は10ページまで目を通しておこう
「社会的養育の推進に向けて」は厚生労働省の「新しい社会的養育ビジョン」等を扱う資料です。
どのようにケアすればよいか分からず、ただほうっておく勇気もなく…
まずは「社会的養護の現状について」のデータも掲載されている10ページ目までを目を通すことをおススメします。
私はさらに新しい社会的養育ビジョンの概要や意義など「考え方の骨格」となる文章(下記リンク12-17ページ)辺りが重要なのかなとヤマを張り目を通しておきました。
2大巨頭!「児童養護施設入所児童等調査」も前回値との比較と傾向把握が大事◎
「社会的養護の現状について」と並び頻出の統計データが「児童養護施設入所児童等調査」
この対策も悩まれる方多いのではないでしょうか。
厚労省で公表のPDFは50ページを超える大作ですから、全てを網羅するのは厳しいです。
ある程度出題されそうなやまを張りつつ、比較と傾向把握をはじめましょう!
まずは元データとなる厚労省「児童養護施設入所児童等調査」のデータを取得しましょう。
「児童養護施設入所児童等調査」の表の上の概要説明だけ見ればOK!着目点と分析観点
実際に「児童養護施設入所児童等調査」の中を見ると、各ページ冒頭に概要説明の文章・その下に表が掲載されています。
概要説明が前回調査の数値も併記されており重要ですが、下部の表は正直見なくとも問題ないかと思います。
加えて「児童養護施設入所児童等調査」をご自身で見ていく際の分析観点も、基本的には上記でお伝えの「社会的養護の現状について」と同様です。
【「児童養護施設入所児童等調査」の分析観点】
・割合(%)は前回調査の数値と比較しよう(増加?減少?横ばい? 急激に増えてる?)
・年齢・期間は全体の傾向をみる(低年齢化してる?長期化してる?短期間になってる?)
・最も数値の大きい内容・最も小さい内容を確認しよう
私ならここやる!「児童養護施設入所児童等調査」のヤマ張り箇所一覧リスト◎
さて50ページ超えの「児童養護施設入所児童等調査」のうち、私ならここ勉強する!という
独自見解のヤマ張り箇所一覧を作成しました!
「児童養護施設入所児童等調査」の目次ページと照らし合わせながら該当ページをご確認くださいね。
リスト作成にあたり基本的な考えとして「年齢・人数・期間・養護理由は重要」としています。
これに追加し問題演習の出題箇所を見返すことで、だいぶ網羅され対策として十分かと◎
【「児童養護施設入所児童等調査」ヤマ張り箇所一覧】 ◎は重要と思われる箇所 Ⅰ 児童の現在の状況 ◎1 児童の現在の年齢 ◎2 児童の委託(入所)時の年齢 ◎3 児童の委託(在所)期間 5 児童の就学状況 Ⅱ 委託(入所)時の家庭の状況 ◎1 養護問題発生理由 ◎2 児童の被虐待経験の有無、虐待の種類 3 委託(入所)時の保護者の状況 Ⅲ 家族との関係 1 家族との交流関係 2 児童の今後の見通し Ⅳ 里親家庭の状況 ◎1 里親申込みの動機 ◎2 登録期間 Ⅴ 母子生活支援施設入所世帯(母親)の状況 ◎1 児童数 ◎2 入所理由及び在所期間 ◎3 入所時の年齢 ◎4 母子世帯になった理由 Ⅸ 障害児入所施設の児童の状況 ◎2 入所児童の契約、措置の割合 ◎3 入所時の年齢別児童数 ◎4 在所期間別児童数 ◎7 児童の心身の状況 Ⅹ 障害児入所施設の委託(入所)時の家庭の状況 ◎1 養護問題発生理由 ◎2 児童の被虐待経験の有無、虐待の種類
児童虐待の相談件数は最新数値まで調べて増加度合いを把握しよう
児童虐待関連については注目度の高いテーマですので、テキスト記載の児童虐待相談件数だけでなく最新年度の件数まで調べておきましょう。
増加がいつ頃までは緩やか?、いつ頃から急激?など傾向まで把握すると安心です。
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